落語観てきた「令和七年雨宿り落語会@仙台市市民活動サポートセンター」2025/6/22
午前中の出前寄席を終え、午後からは後輩、東北学院大学落語研究会の発表会を観に行ってきました。
開演時間に間に合わず、会場に到着した時はすでに開口一番の瑠嘉くんが上がっていました。口演中は迷惑になるので着席は演者の入れ替わりの時に。そのためちゃんと観る事が出来ず残念。彼の演目は「茄子娘」、また機会があればきちんと観てみたい。
お客さんたくさん入ってました。七十名を超えていたとか。宣伝活動頑張ったんですね。大したもんです。
今年の春にあった追い出し落語会、この時の集客が百五十名以上。おそらく現役主催・単独で開催する落語会の集客数ではこの時が過去最高。
いや、昔の発表会の動員数は記録に残っていないので、はっきりした事は分からない。けど、私が落研に入部する前後からここ三十年間の集客数トップは今年の春の追い出し落語会。これは間違いないはず。これはこの時の卒業生、頑張亭たい杜くんと藍舎都羽さんの力が大きかったのは間違いないでしょう。
あの時は卒業記念公演だから、特別な会として集客数上がるにしても、その後の発表会は集客数がガクッと落ちちゃうのでは、急に寂しい感じになっちゃうのではと心配もしていました。
なので本日伺って客席埋まってるのを見てとても安心しました。
ぱっと見男性客が多い感じがありましたが、それにしても笑い声も多く上がっており、良い客席。
瑠嘉くん喋り終えてから着席。ちゃんと観たのはマヨッ亭たこやきくんの高座から。
この子は子ども落語教室で落語をやっている子で、今中学生なんだそうです。
たしか、子ども落語教室は青葉区八幡町で開催されていて、学院大落研と東北大落研が指導に当たっているはず。
たこやきくんの演目は「風呂敷」。参考にしたのが立川談志の「風呂敷」だというのがとても良く分かる。
子どもが艶笑噺を演る、というのには、客席に居て抵抗を感じる派です。観ていて居心地が悪く感じてしまう。大学生が演っていても、時折抵抗を感じる事があります。これはあくまで私個人の意見だし、「絶対に演るな」という話ではありません。
家族団らん、お茶の間で和気あいあいとテレビ観てたら急にお色気シーンが放送されてしまった時のような居心地の悪さ、これを私は感じてしまう。
「風呂敷」は構えたけど、ちょっと匂わす程度だし、たこやきくんは中学生ながら落ち着きがあって、達者に喋っていたので、さほどそれは感じずに済みました。
入れ事多め、時計は見てなかったけどかなり長く感じました。
次は三年生の渡来庵杜来くん「ちりとてちん」。
マクラからちゃんと前の演者の色を消しにかかって自分の高座にしていました。客席の反応も良かった。
調子の良いやつと嫌味なやつ、上手く演じ分けてて、自分の色にも合ってて、サゲ間際のリアクションも十分。お客さんも沸いてて、とても良い出来でした。
仲入り挟んで、新入生の紹介。
今年は一年生五人入ってくれたようです。
一人は、急遽実家に帰ってしまったので、四人登壇して会長の瑠嘉くんが一人ひとり紹介していく。そのうち、一人は例の子ども落語教室で落語をやっていた子なんだそうです(それが誰だったか芸名忘れた、ごめんなさい)。
九月の学外笑語寄席での初高座に向けて、頑張って欲しいですね。
くいつきに上がったのは二年生の北極亭こぐまくん「堪忍袋」。マクラがとっても楽しい。
今回の発表会に向けて宣伝活動を頑張っていたそうで、伺ったところ自分が卒業した高校にもポスター貼らせて貰いに行ったりもしたそうです。その行動力が凄い。マクラで言ってましたけど、お客さん七十人中、こぐまくんが連れてきたのが十人は居るとか。一割以上の集客を担っているというのは偉い。
「堪忍袋」も面白かった。こういう賑やかな噺はニンに合ってますね。ワイガヤとか、江戸っ子が何人か集まって馬鹿やる噺が合いそう。花見の仇討ち、錦の袈裟、不動坊とか。
ヒザは二年生、裸足家元太郎くん「花色木綿」。前が賑やかな高座だったので、静かなトーンで入っていくのはまた雰囲気が変わって良い。
番組が進んでここまで盛り上がってきたので、良くウケてました。前の演者がうまくバトンを繋いで、それを盛り下げずに繋いだのは偉い。
拝見していて二年生の二人は落語に慣れてきたように思えます。学生さんの上達ぶりを目の当たりにできるのもこういう会に足を運ぶ楽しみの一つです。
トリは三年生の黄亭花透音さん「青菜」。
この子は上手い上手いと思ってましたけど、今日もやっぱり上手かった。
序盤滅茶苦茶上手く感じて、きちんと噺の世界に入り込めました。
入り込み過ぎて、目の前の演者が一瞬消えて落語の世界の絵が浮かびました。私はごくたまに、この没入感を味わう事があります。
生の高座を観る機会がそもそも少ないのだけど、思い出せるのだと、神田阿久鯉さん「天明白浪伝むささび三次」に神田松麻呂さん「畔倉重四郎金兵衛殺し」、柳家喬太郎さん「按摩の炬燵」でもこの没入感はあった。
プロの高座ではあるけど、学生・社会人含めアマチュアの高座では今まで一度も無かった。それだけに今日は驚いた。
後半、おそらく私自身の疲れがあって噺の世界から離れちゃったけど。観る側のコンディションもあるわけです。
トリで緊張もされていたのか、マクラ駆け足なようにも見えましたが、噺でお客さん引き込めるならマクラはあんまり要らない、簡単で良い。トリだし。
本日仙台最高気温三十三度。六月にしては異常な暑さ。「青菜」で季節感を味わうにはピッタリの日でしょう。こういう暑さを感じているからこそ、押し入れの中に入り込んで茹だっているおかみさんの可笑しさがより出ます。
今日は、自分ちゃんと稽古しなくちゃ駄目だなと感じた落語会でした。
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