落語演ってきた「遊々亭つばさ・剋家清生落語二人会@仙台市戦災復興記念館四階研修室」2025/7/20

本日は遊々亭つばささんとの二人会でした。

一、藤鷹亭茄子「親子酒」
一、剋家清生「金明竹」
一、遊々亭つばさ「タンバリン浪曲〜からかさ桜」
〜仲入り〜
一、楽進亭瑠嘉「新聞記事」
一、遊々亭つばさ「ぜんざい公社」
一、剋家清生「ねずみ」


昨年夏にも二人会やらせて頂き、それに続いて二回目。
やっぱり自分の名前が出ている会というのは誇らしいし、励みになります。段取りして下さったつばささんに感謝。

仙台はつい先日梅雨明けしたばかりということもあってか夏本番、三十五度を超える暑さ。
本日は参議院選挙の投開票日。私は朝イチで投票しに行き、集合時間よりも二時間近く早く会場の戦災復興記念館に入りました。朝から暑かったけど、より暑くなる前に空調の効いた涼しい会場に入って体調整えておこうという算段。
戦災復興記念館は仙台市のクーリングシェルターとしてロビーや各階のベンチがあるスペース開放されてますんで、そこは遠慮なく活用させて頂く。周りに人居なかったんで、これ幸いとブツブツ噺さらって、本番に向けて調整出来ました。
慌ただしく会場入り・準備・間髪入れず高座、というよりは、やはり一息つく時間があったほうが気持ちが楽です。

今日は東北学院大学と東北大学の落研の学生さんに手伝いに来て貰いました。演者二名、学院大落研からは三年生の楽進亭瑠嘉(たのしんでいるか)くん、東北大落研からは二年生の藤鷹亭茄子(ふじたかていなすび)くん。また、裏方・高座返しで学院大学三年生の黄亭花透音(きいてはなすね)さんも来てくれました。
私とつばささん二人きりではさすがに落語会運営出来ませんので、協力して頂き感謝。

本日ご来場頂いたお客様は約三十名。暑い中ありがとうございました。

開演し、軽くオープニングトーク。この際お客様にアンケート、「清生を初めて観るという方はいますか?」「つばささんを初めて観るという方は?」両方に結構手が上がりました。「では、清生つばさ両方初めてという方は?」これにも何名か手が上がりました。
ご新規さんが多いという事ですので、これは有り難い。

開口一番は東北大落研の藤鷹亭茄子くん「親子酒」。マクラで最初からウケてて場を作ってくれました。華のある高座、スマートで聴きやすく、また面白かった。
彼は二年生、昨年七月に初高座との事で、まだ一年くらいしか落語演ってないとはちょっと思えない。打ち上げの時伺ったら、すでに手掛けた噺は十四を超えるとか。毎月一席以上、凄いペースだ。それだけ落語に取り組んでたら上達するの当たり前か。
つばささんに聞いたら彼の「長屋の花見」が滅茶苦茶良いらしい。他のネタも是非観てみたい。


つばささん、一席目はタンバリン浪曲で「からかさ桜」。タンバリンのシャララン…という余韻が思いのほか合う。お客さんも聞き入ってました。


くいつきは楽進亭瑠嘉くん「新聞記事」。良いリズム感で楽しい一席、良くウケてました。
今日は彼のお母さんが客席にいらっしゃってました。実はつばささんのお母さんも客席にいらっしゃいました。去年は私の両親が来てました。この会は親が来がちなんだな。
今回彼に対ししくじったのが、宣伝用のポスター。彼の名前じゃなくて間違えて彼の同期の渡来庵杜来くんの名前が掲載されてしまいました。これは私とつばささんの打ち合わせミス。失礼しました。


ヒザのつばささんは「ぜんざい公社」。
これは私がリクエストした噺。絶対似合うと思ってました。つばささんの間とかフラとか、ピッタリじゃないでしょうか。
入れ事もしやすいし、芸風にも合ってる。
伺ったらつばささんも気に入ってくれたようで良かった。


私は、前回の二人会の時の反省を活かそうと臨みました。
前回は少し欲張りすぎたというか、変に色気が出てしまって、そのため空回って上手くいかなかったという反省がありました。
あの時は初めての会という事もあって雰囲気が読めず、演るネタは決め打ちにせず五つくらい準備して臨みました。その気概は良いんだけど、どれも中途半端で、結果振るわずという始末。なので今回はネタは決め打ちにして、念の為手慣れた噺もさらっておいて臨む、という形にしました。トリの「ねずみ」は決め打ち。「金明竹」もほぼ決め打ち・だけど念の為代わりのネタとして「転失気」「たらちね」を準備、これは手慣れているので怖がらずにある程度自信持って演れる。二番手の出番としてやっぱりお客さんに笑って頂かないと、という思いがありましたんで。

また、前回のもう一つのしくじりはあの転倒事故。足痺れたのに無理に立ち上がった為まともに歩けず転んじゃった。
なので今日は二席とも正座椅子を使いました。これは大正解。足が痺れないから余計な気を使わなくて良い、最後まで集中出来ました。私太ってますんで、長い噺演る時は足の痺れにも気を配りながら、適度に腰を浮かせる仕草入れて痺れ抜いたりして対処するんですが、そういった余計な事をしなくて良いので楽でした。

私の一席目「金明竹」。前回の反省を受け、ある程度聞き応えがあって、クスグリも分かり易い噺を最初にという事で。骨皮のところで笑いも起こりやすいですし。
ただ、緊張もあって与太郎小咄一つ入れるの忘れた。これは入れた方が良かったなと反省。
前の茄子くんからの良いバトンがあったにしては、しっかりと客席沸かせられなかったのが残念。
私がこの噺演っていて好きなのが、松公の台詞の数々「…傘貸さねぇよって?」「おばさんまで小言言うようになっちゃこの店もオシマイだな」「はっきり覚えてるところ? 今のの!?」等。松公を演じてて、自分で楽しくなっちゃう。

トリは「ねずみ」。仲後、瑠嘉くんとつばささんがよく沸かせてくれたもんで、そこに乗っからせて頂きました。私の出番でも笑い起こってましたがこれは前の演者が流れを作ってくれたおかげ、甘えさせて貰いました。
あんまりクスグリたくさん入らないんだけど、要所要所でしっかり反応して笑って下さった、良いお客様に感謝です。

「ねずみ」はお蔵入りしていた噺で、五年半ぶりに人前で演りました。
最初覚えた時参考にしたのは桂歌丸さんや先代入船亭扇橋さん。
高校生の時、日本の話芸で放送していた歌丸さんの「ねずみ」が面白くて印象に残っていました。釣り好きな歌丸さんらしく、ねずみ屋の裏の小川の水の綺麗さを表現するのに「朝夕のまずめ時には山女魚の影が浮かぶ川でございます」という台詞、情景が浮かんでとても素敵です。

御当地仙台の噺という事もあって手掛けたいと思い覚えました。御当地ネタなんで、噺家さんによっては「江戸に比べれば見劣りするが流石は伊達様六十二万石のご城下…」という台詞が入りますが、「江戸に比べれば」というのは余計かと思い私は省いてます。
ネタおろしは二〇一八年七月、当時自分で開催していた勉強会にて。二〇二〇年一月の仙台新撰落語会で掛けたのが最後。ちょうどコロナが流行りだした時ですね。それ以降は全く演ってませんでした。

今回思い出すにあたって、入船亭扇辰さん、瀧川鯉丸さん、橘家文吾さんの音があったので参考にしました。
また、春風亭一之輔さんの「ねずみ」は、今回考え直す良いキッカケになりました。
三遊亭兼好さんの演出で、卯兵衛さんの悲しい身の上話は卯兵衛さん自ら話すのではなく、幼なじみの生駒屋さんが代わりに甚五郎に語って聞かせるというもの。こっちのほうがすんなりと卯兵衛さんに感情移入出来ます。また、それまで表に出てこなかった生駒屋さんが前に出てくる事で噺が賑やかになります。
私はDVDで一之輔さんの「ねずみ」を観て「こんな演り方、アレンジがあるんだ!?」と驚き、また大いに納得させられました。

「ねずみ」は元々浪曲のネタを落語に直したものなので、この身の上話は節が付けば違和感なく聞けるのだと思います。
落語だと卯兵衛さんが積極的に身の上話始めるので、ちょっとあざとい感じが鼻についちゃうと思いました。

そうそう、この「ねずみ」、浪曲で演じられているものを探してみたんだけど見つけられなかった。探したっていっても、捜索範囲はYouTubeに上がってるものや仙台市の図書館に収蔵されてる浪曲のCDとかだけなんで、それほどちゃんと探したわけじゃないんだけど。一度ちゃんと浪曲で演じられている「ねずみ」は観ておきたい。

一之輔さんのを観て「この演出で『ねずみ』演ってみたい、これなら納得してできる」とも思いました。が、安直に取り入れるのもなんか嫌だし、まだ広く取り入れられている演出でもないので躊躇いました。

私なりに考えた演出・工夫としては、卯兵衛さんの身の上話は、自ら進んで話し出すというよりは、甚五郎に誘われるように話し出す方が良いだろうと思い、そのように演ってみました。
甚五郎が「おとっつぁんを見ていて、こんな小さな旅籠の主人に収まっている風には見えないんだけど」(甚五郎ほどの人物であれば人を見る目もあるだろうという体で)→「左様ですか、…いや、実は私前の虎の主人でして(まさかそういう風に言われるとは思わず、ついポロッと言っちゃう)」、そこから甚五郎が何か訳があるなら語って下さいよ、と誘う流れ。
積極的に話し出すのはやはり違うなと思いますが、卯兵衛さんも辛い身の上、誰かに話を聞いてもらいたいという気持ちはあったと思います。

素人が何を生意気な、と周りから思われるかも知れませんが、自分なりの工夫を自由に入れられるのがアマチュア落語の楽しいところだと思います。

この噺の大好きなところは、サゲ間際の「世の中の何事も忘れ魂をこめてお前を彫り上げたつもりだ」という甚五郎の台詞。毎回じーんと来る。そう在らなければいけないよな、と思い、気が引き締まる。また、常にその姿勢で彫り物に取り掛かる甚五郎の姿を思い浮かべてグッとくる。

せっかく今回蔵から引っ張り出して、また僅かだけど自分なりのアレンジも加えられたし、再びお蔵入りにしないように機会があればまた口演したい。

余談ですが、私の二席は、裏テーマとしてつばささんのネタに合わせた面もちょっとあります。
「ぜんざい公社」は客がとんでもない応対されて翻弄される噺。「金明竹(骨皮)」は松公がとんでもない応対して客を翻弄する噺。
「からかさ桜」は、タンバリン浪曲という形ではありますが浪曲ネタ。「ねずみ」も浪曲絡みのネタ。
こういうの自分の中で考えて勝手に楽しんでるわけです。

会が無事にハネてからは、参加者でささやかながら打ち上げ。学生さんとお話が出来て、私も刺激を頂きました。


この打ち上げ時、弾みで椅子の手すりに左手ぶつけて親指を痛めてしまった。突き指みたいな感じで地味に痛い。


前回はコケて左足捻挫。今回は幸い落語会の最中の怪我では無かったけど。この二人会、何かあるのか。次回やる時はお祓いとかしてから臨もうか。

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